days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

It's Me or the Dog番組内で安楽死

ナショナルジオグラフィックの看板しつけ番組がアメリカを代表とするドッグトレーナー シーザー ミランのDog Whisperer(邦題”さすらいのドッグトレーナー”)ならば、アニマルプラネットはイギリスの美人敏腕トレーナー ヴィクトリアのIt's Me or the Dog(邦題”ヴィクトリア流 犬のしつけ教室”)がドッグトレーニングの看板番組でしょう。
どちらも飼い主にリーダーシップを取りかたを教えることで犬の問題を解決していくというのが大まかな内容です。
シーザーとヴィクトリアはしつけの具体的なアプローチ方法はちょっと違いますが、飼い主がリーダーシップを取るというところは一緒で、二人とも犬を良く見ていてタイミングがとても良いです。
シーザーならチョークやコレクションのタイミングが良いし、ヴィクトリアはトリートをあげるタイミングが良い、といったように。
アメリカでもよく比べられ、シーザー派(どちらかというと強制訓練に近い?)かヴィクトリア派(どちらかというと褒めるしつけ)かなんてよく言われる二人ですが、私はふたりとも参考にしています。
おもしろいなと思うのはパッと見のトレーニング方法はシーザーの方が厳しく(シーザーはチョークを多用するし、犬をひっくり返して強制服従させたりします)、ヴィクトリアの方が優しい(基本的にはトリートを使った褒めるしつけ)のですが、犬との暮らし方はシーザーの方が犬に甘いところがあり、犬とキスしたり、ベッドで一緒に寝ていたりソファにあげたりしており、ヴィクトリアはそういった行為を「不潔、立場をわきまえていない」といって許さないところ。
個人的にはシーザーは天性の才能で犬を読み取りコントロールしているというか、彼自身が「犬」で、本能で犬を理解し後から行動学を知ったのに対し、ヴィクトリアは行動学をしっかり勉強して犬をコントロールしているように思います。
シーザーは天才なのですが、トレーニングを受けた飼い主さんたちが訓練方法を真似できません。LAで”シーザーのトレーニングを受けた”という犬に会いましたが、やっぱり元に戻ってしまっていました。「飼い主がダメなんだ」というのは簡単ですが、シーザーのように犬をコントロールできる人はトレーナーのなかにも滅多にいないでしょう。
一方ヴィクトリアの方法は飼い主もマネしてやりやすいので、成功しやすいと思います。でもヴィクトリアにはDog Whispererのシーズン3以降にでてくるようなトンデモ犬はコントロールできないかもしれません。
何にしても二人とも敏腕トレーナーで、彼らがどう犬を読み、どのタイミングでコレクションしているかを見るのはとても勉強になります。

Dog Whispererのシーザー ミラン
アメリカではシーザーのマネをして、犬に咬まれる人が続出したので、安易にマネするのは要注意ですが!


前置きがすごーく長くなってしまいましたが、日本のアニマルプラネットで11月1日に放送されたIt's Me or the Dog〜ヴィクトリア流 犬のしつけ教室を見て衝撃でした。
ヴィクトリアの番組では毎回”動物愛護先進国イギリス”という名を疑ってしまうような間違った犬の飼いかたをしている飼い主とダメ犬(?)が紹介され、ヴィクトリアが飼い主に正しい方法を教えて犬の行動が良くなってハッピーエンド♪なのですが、今回は違いました。
今回登場したのは食べ物に執着する2頭のコッカースパニエル。そのうち1頭はスナック菓子を持っていた子供をスナック菓子ごと咬みついたことがありました。
番組途中までは順調に飼い主も犬も治っていき、ヴィクトリアはセッションを終えて、このまま番組終了かと思いきや。。

It's Me or the Dogのヴィクトリア


飼い主からヴィクトリアへ1本の電話が鳴り、内容は「コッカーのうちの1頭がまた子供を襲った。今度は食べ物も無かったし、きっかけとなる原因がない。妻は子供を守るためにこの犬の安楽死を考えているが、自分はしたくない。里親を探そうとも思っている。どうしたらいいか?」というものでした。
私はてっきりヴィクトリアがまたトレーニングに行くのかと思いきや、彼女が出した答えは安楽死。「人を何回も咬んだ犬に里親は見つからない。このままにはしておけない。私だったら辛いけれど安楽死させに病院に行くわ。」
番組ではコッカーをいちばん可愛がっていた父親がコッカーを車に乗せ病院に連れて行き、、、それから亡くなったコッカーを毛布にくるみ庭に穴を掘っているシーンまで映し出していました。
最後にヴィクトリアが「精神的にしつけしても人と暮らしていけない犬もいるわ」みたいなことをチラッと言っていましたが、番組を見ただけだと、あのコッカーは本当に治らなかったのか、助けられなかったのかという思いがあります。
欧米は動物愛護先進国と言われますが、トレーニングして改善しない犬は安楽死を薦める風潮が確かにあります。
アメリカでもルーキーは数名のドッグトレーナーに安楽死を薦められました。


ただ番組内で説明はなかったけれど、安楽死されたコッカースパニエルは「激怒症」だったのかとも考えました。
ヴィクトリアはそう判断したから、安楽死を薦めた?
もしそれが真実ならば、番組内で激怒症についての説明がほしかったし、さらに掘り下げて精神的身体的に疾患のある犬を繁殖させないことの重要性にも触れて欲しかったと思います。