マールのドア
遅ればせながら、「マールのドア」読みました。
- 作者: テッド・ケラソテ,古草秀子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 単行本
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Grand Teton posted by (C)Rookie
マールが暮らしたグランドティートン。こんな大自然のなか自由に暮らせたら人も犬もどんなに幸せでしょうか。しかし、自然のなかに自由に生きるということは厳しい一面も持っており、時々マールの仲間の犬や猫達が野生動物や人間の手で命を落とすこともあります。
P1080895 posted by (C)Rookie
ルーキーだったら、、、野生動物との出会いでやっぱり命を落としてしまうだろうと思います。それが自然の営みだと私はテッドのように達観できないかも。。
P1090330 posted by (C)Rookie
作者のテッドは徹底したナチュラリスト。物語の前半で彼はマールが危険な目にあうであろうことが容易に想像できることでもマールのしたいままにさせています。その考えには憧れるとともに、どこか言い知れぬ冷たさを感じる場面も幾つかありました。テッドが自分も犬も猫も自然の流れに身をまかせているのに対し、私は社会に自然に適合できない犬が集められたシェルターでボランティアしたせいか、ひとつの命にこだわってしまいがちなので、時にテッドに反感を持つシーンもありました。マールが殺されてしまうかもしれないのに夜中にコヨーテの群れにマールが飛び込んでいくのを止めるどころか外に出してしまったり、知らない犬と上手に接することの出来ないホワイトシェパードとその飼い主に対する蔑視的な言動など。
道路標識 posted by (C)Rookie
グランドティートンの道路標識
プロングホーン posted by (C)Rookie
グランドティートンに点在する私有地
私有地には牧場もあります。物語の中では大事な財産である牛を追いかけてしまう放し飼いの犬達が、牧場主の怒りを買い、撃ち殺されてしまう記述が何回かでてきます。マール自身も体内に銃弾が残っています。
バイソンのケンカ posted by (C)Rookie
物語前半、マールがバイソンに挑んであわや、、、のシーンがあります。毎年イエローストーン、グランドティートンでは観光客がバイソンやグリズリーに近づきすぎて命を落としています。
牧場主や野生動物との危険なシーンがある度に「自由」と「危険」、アメリカ人に根付く「自己責任」という思想について考えてしまいます。
グリズリー posted by (C)Rookie
グリズリー
ブラックベア posted by (C)Rookie
ブラックベア
ナキウサギ posted by (C)Rookie
マールがよく狩りをして食べていた地リスの仲間
コヨーテ posted by (C)Rookie
マールにとっては敵役ともいえるコヨーテ。マールと暮らしていたグレーキャットはコヨーテに狩られてしまいました。
「マールのドア」の話には関係ありませんが、サワロ国立公園でコヨーテと首輪の着いたセッターのペアを見かけました。二頭は連れ立ってサボテンのなかを走り回り、狩りをしていました。ロサンゼルス近郊にもコヨーテは生息しており、小型犬が自宅の庭やドッグランで襲われてしまうことがあります。
ムース posted by (C)Rookie
テッドの家に体当たりしてきたこともあるムース。ムースはグランドティートンのシンボル的な存在。写真は夏なので角が落ちています。
エルクの赤ちゃん posted by (C)Rookie
テッドとマールがハンティングを楽しみ、常食していたエルク。
国立公園内でのエルクの狩りは間引きのため一部のハンターだけに許可されています。何故エルクに間引きが必要かというと、実は冬の間イエローストーンから南に下ったエルク保護区で人間が大量に餌をあげているから。そうして増やしたエルクを間引きと称してハンティングすることに近年疑問の声が大きくなってきているとグランドティートンのレンジャーから説明されました。
ミュール鹿 posted by (C)Rookie
マールが追いかけたがったミュール鹿
ビーバー posted by (C)Rookie
水辺の可愛い住人ビーバー
プロングホーンのオス posted by (C)Rookie
プロングホーン(レイヨウ)
ビッグホーンシープ posted by (C)Rookie
ビッグホーンシープ
ウルフ posted by (C)Rookie
グレイウルフ
健全な食物連鎖の復活のためにイエローストーンに放されたグレイウルフ。
現在は数を増やし、エルクを追いかけてグランドティートンの他、国立公園外にもパックが見られるようになってきましたが、同時に周囲の牧場主からは苦情が相次いでいて、政府はその補償に莫大な額を出しているとか。
ちなみにテッドの暮らすグランドティートン国立公園内の私有地エリアではみんな犬を放し飼いしていますが、実は国立公園は犬の立入についてはかなり厳しく決められています。リード着用だけではなく、ほとんどのトレイルが犬の立入禁止になっています。これは野生動物から犬を守るためと、犬が持ち込む自然界には無い病原菌から野生動物を守るため。
イエローストーンで生まれたオオカミの実に70%が飼い犬が持ち込む病気に罹って死んでしまう(グレイウルフの母親が抗体を持っていないのでしょう)とイエローストーンのレンジャーが嘆いていました。
子ギツネ posted by (C)Rookie
子ギツネ
ヘイデンバレーの早朝 posted by (C)Rookie
早朝のイエローストーン。バイソン達が草を食む。
いろいろ危険なことや厳しいことも多いけれど、こんな大自然の中で犬と暮らせたらどんなに素晴らしいだろうと、やっぱり憧れてしまいます。
マールの「ドア」は文字通り、ドギードアだたけれど、「ルーキーのドア」はリードなのかもしれない。
ルーキーはリードを着けることで大自然のなかに出て行くことができるのだから。
マールほどの大自然を与えてあげることはできないけれど、ルーキーには今までもこれからもいろいろな冒険に出かけていろいろな匂いをかいで、見て、聞いて、感じさせてあげたい。