days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

すごく進歩してるけど、一般的にはトンデモ犬ですが(汗)

最近あんまりトレーニングのことを書いていないし、基本的におりこうさんな写真しか載せてないので、「ルーキーちゃんはおりこうでいいねぇ」なんて真剣に信じている方もちらほら(笑)

警戒&ちょいビビリ中のルーキー
まあ、ルーキーは相変わらず他犬NGです。
すれ違いや挨拶で他犬の鼻が付きそうになるくらいに近づくと吠える犬って珍しくないけれど、ルーキーの場合は気配がしただけでもダメだし、米粒に見えるくらい遠くにいてもダメだったりします。人が持っている犬っぽいもの(例えばカートとかスーツケースとか箒とちりとりとか)にも反応します。
しかも大型犬で吠え声はやたらデカイし、前へぐいぐい引っ張るんじゃなくて、跳んで跳ねて暴れまわるので、そりゃもう注目と好奇と非難の視線の的です。

この写真を撮っている最中に他犬を見つけて、、、






瞬間熱湯湯沸かし器と言われるルーキー、ここまで一瞬の出来事です。こうなっている時は大声で叱ったりリードを引くことは火に油を注ぐ行為になってしまうので、私は興奮したり落胆したり起こったりせずに平常心を保ちつつ、ルーキーをしっかり止めるのみ。
ルーキーの散歩コースの途中に住んでいるお爺さんに30分以上怒鳴られたりすることもあります。
私はルーキーを大声で叱ったり、ひっぱたいたりといった見た目に分かりやすい叱り方をしないので(何もしていないわけではないですよ。ルーキーがパニックに陥らないように、パニックになったら助長しないようにあれこれしています)、派手に怒るしつけの仕方しか認めない人から見ると「お前がしつけしないから、いけないんだ!」と思われるようです。このおじいさんは「訓練所に連れて行けば犬はみんな治るんだ」とか犬を知らない発言を連発、「ずっとトレーニング続けているんですよ」とにっこり言うと、「訓練して治らない畜生なら保健所に連れて行かれても仕方ない」とか「通報してやるぞ!」と怒鳴り散らしておりました。
何だかこのお爺さんが興奮して我を忘れて吠えている犬に見えて、無表情でいたら、30分して静かになりましたけど。
こういう人が近所にいると、問題のある犬が捨てられたり、外に出さずにケージに入れっぱなしになったり、暴力的なしつけを受ける原因になるんじゃないかなぁと思いました。ずっと吠えているならまだしも、通りすがりの犬がちょっと他犬とのすれ違い時に吠えてたくらいで通報したからってどうにもならないと思うけど。
でもきっと和を大切にする日本の飼い主さんはあせって、結果をすぐに出したくもなりますよね。


ルーキーは犬嫌いだと思われがちですが、知らない犬が怖いだけで、実はお友達犬と一緒にいるのは大好きだったりします。
でも登場時は米粒サイズの時に「犬が来た!」と吠えてしまって、お友達だと気づくとキューンキュンと鼻を鳴らしまくったりします。

駐車場からラビちゃんとエムちゃんがやってきます。「もしかしたらラビちゃんかも?」とルーキーも思っているようで、吠え方に迫力無し。でもラビちゃんじゃ無かったら困るので、とりあえず吠えとこうなルーキー。

あ、ラビちゃんとエムちゃんだった。テヘッ

「ルーキー兄ちゃんだ!」なエムちゃんと、「エムちゃんおはよう」なルーキー

わーい、今日はみんなでお散歩だ♪

お友達わんこと一緒だと、いつもよりずっとリラックスしてお散歩できます。


実はルーキーは以前よりずっとずっと落ち着くのが早くなっているし、我慢できる距離も縮まってきています。初めてのお友達犬と馴れる時間もかからなくなってきています(馴れるまではガウガウですが)。

パニックから醒めつつあるルーキー。ここらで静かに声をかけます。
最近はスーツケースやカートに吠えることもほとんど無くなったし、出会った頃吠えていた鳥は完全にスルーしています。
屋外の広い場所ではぴったり私に張り付いてずっと警戒して遊ぶことが出来なかったけれど、今は初めてのドッグランで走り回っているし、破裂音に対する恐怖も以前ほどでは無くなり、シャンプーの時に顔にシャワーをかけてもじっとしていられるようになったし、トリマーもトレーナーも獣医も切れなかった爪も切らせてくれるようになりました。不安になってしまって出来なかったお留守番も短時間なら上手に出来るようになりました。日本語もたくさん覚えました。ほとんど残していたご飯も外では食べられなかったオヤツも今となっては何だったの?と思うくらいの食欲大魔王。

こうして書いてみると、できるようになったこといっぱいあるなぁ。


でもそれは私やルーキーをよく知る人しかわからないこと。
通りすがりの人やルーキーに好意や興味を持っていない人には気づかない変化。
世間的にはルーキーは相変わらず「とんでもない凶暴犬」であり、私は「犬のしつけもできないダメ飼い主」なわけであります。




シェルターの中のルーキー
推定3歳でシェルターで出会い、一時預かりしてほしいと依頼された時には、もう手に負えない状態だったルーキー。

元のオーナーからもらった写真。2頭とも大切に可愛がられてた様子が伺えます
でも最初のオーナーの元では子犬の頃から先住犬のボクサーと一緒に暮らして育ち、トレーニングクラスにも積極的に参加していたようです。そして先住犬は問題のない犬で、ルーキーをシェルターに連れて行った後に、ボクサーを迎えて2頭仲良く飼っているようです。だからルーキーは社会化されなかったとか、訓練されていない犬では無いし、もともとのオーナーが全ての問題の原因だとは私は思いません。確かにルーキーを途中で手放したオーナーではありますが、、、ルーキーがシェルターに来た時、犬に咬まれた傷があちこちにありましたから、先住犬とルーキーとの間でケンカが絶えず(原因はルーキーなんだろうなぁ)、泣く泣くルーキーを手放したのではないかと思います。

「あれ、犬かもしれないな」この状態だったら素早くオヤツやボールでアイコンタクトを取って、他犬から離れる方向へ移動します。吠えないで移動できたら、うんと褒めます


一時預かりから早いもので5年近く経ち、いろいろな訓練をしてきました。
LAのシェルターでボランティアしたり、ケージフリーでイケアのボランティアスタッフをしているうちに、自然とリードワークや犬をコントロールするのが上手になってきた(犬のシグナルを読み取れるようになってきた)頃、ちらりとドッグトレーナーとして仕事しようかと思ったことがあります。
シェルターにいる札付きのピットブルやシェパードが、自分の訓練でどんどん良い子になっていく過程が嬉しかったし、「すごいね!あなたが散歩させると、吠えたり引っ張ったりしなくなるのね!」とボランティア仲間から褒められるのも誇らしくて、ちょっと天狗になっていました。
ドッグトレーナーの資格は国家資格的なものはなく、どこかの団体が勝手に認定しているだけなので、通信教育でちょっとお金を支払えば取れてしまいます(訓練士の資格を取るのはもっとずっと大変)し、実は資格自体いらなかったりします。
トレーナーになろうかな、そんな気持ちに待ったをかけたのはルーキーでした。何しろ肝心のルーキーの問題は治らないのですから。
ルーキーは天狗になっていた私に謙虚になることを教えてくれました。


そしてシェルターやデイケアでいろいろな犬や飼い主と出会ったので、トレーニングもいろいろだなぁと。私を含め、みんなが探し求める「唯一無二の方法」はきっと無いのだなというのが個人的な感想です。
犬と飼い主のペアによってベストの方法は違うと感じます。
飼い主さんのもともとの性格がビシッと強いならリーダーシップも自然と取れるだろうから敢えて「リーダーシップ論」の良し悪しを議論する必要も無く、犬は安心してついていくだろうし、優しい和み系なら優しく犬を癒して安心させてあげる方向が良いだろうし、明るく活発なら性格ならば、犬達は楽しく元気いっぱいな暮らしが出来そうです。



時には水難救助犬訓練生の大会で優勝のご褒美も。泳ぐのが大好きで人が大好きなルーキーにはぴったりな競技です
犬の同じ行動でも、どんな風に犬と暮らしたいかで、その同じ行動は好ましい行動にも問題行動にもなります。田舎の一軒家で番犬としての役割を期待するなら吠える行動は好ましいけれど、都会のマンション暮らしでは問題行動。おっとりのんびりまったりした犬は飼いやすいけれどスポーツドッグとして楽しむには向かないし、反対にエネルギッシュでハイパーな犬は飼うのはちょっと大変なこともあるけれど、一緒にスポーツや訓練を楽しむにはうってつけです。
犬の個性と飼い主さんの個性を生かせる方法がいちばん。
どんな方法でも犬と飼い主さんの絆が深まり、一緒に暮らしていて「お互いが」楽しく幸せなものなら、それがベストなんだろうなと思うのです。