days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

トレーニング

最近、ちょいちょい聞かれることがあったので、私のトレーニングへの思いを難しい専門用語ではなくなるべく平易な言葉で書こうと思います。

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私とRookieが出会ったのは、ロサンゼルスのシェルターでした

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当時、シェルターボランティアをしていた私は、一時預かり先が見つからず転々としていたRookieの一時預かりボランティアをしないかと依頼され、それを受けました。

「とても賢く、ハウスマナーもパーフェクト」と説明され、実際シェルターで面会したRookieは穏やかでやさしそうに見えました。その時はなんでこんな良い子が里親どころか預かり先も見つからないのだろう?と思いました。

が、その後お散歩に連れ出してみてすぐにその原因がわかりました。

犬に対する激しすぎる攻撃性。犬がいる気配を感じただけでとんでもない吠え、そしてパニックのような跳んではねて大暴れ。しかも相手の犬がいなくなっても20分くらい吠えがやまない状態。散歩しているだけで警察に通報されるわ、すれ違いざまに「そんな犬、殺せ!」と罵られるわ、大変でした。

私の前に一時預かりをしていたボランティアに話を聞くと、その家の犬をケンカの末に重傷を負わせ、その犬は助かる見込みがなく安楽死にしたと言われました。

最初にこの話をちゃんとしてくれていたら、私はRookieの一時預かりをしなかったでしょう(だから隠していたのだろうけど)。

でも、1週間も一緒に暮らしてしまったら、情がわいてしまって「じゃあギブアップします、KILLシェルターに連れて行っても仕方ない」とは言えませんでした。

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それから、私とRookieのトレーニングクラス放浪の旅が始まりました。

私はまずポジティブトレーニングで評判が良く補助金をでる公共のManhattan beach市のトレーニングクラスに参加しました。初回、すごい暴れっぷりをみせ、トレーナーDにリードを預けましたが暴れっぱなしで、結局、クラスから離れたところでただ待機するように指示されました。

3回目のクラスで「危険なので次回からクラスに来ないように」と言い渡されました。

 

次にボランティア仲間から紹介されたクリッカートレーニングで評判の良いトレーナーCに頼みました。室内でクリッカーの基本をRookieに教えたトレーナーは「この子は簡単だ」と言いました。そしてトレーナーがRookieのリードを持って外へ。トレーナーは「リードはこうやって軽く持つの」と説明していましたが、公園でオフリードのフレンチブルドッグに出会うと、そのトレーナーは暴れるRookieの力に耐えきれずリードを放してしまい、Rookieはフレンチブルドッグを咥えて振り回しました。フレンチブルドッグがオフリーシュだったこともあり、Rookieはアニマルコントロールには連れていかれずに済みましたが、このトレーナーからは安楽死を強く勧められました。

 

ボランティアのオーナーに相談しながら、トレーナーを変えて6回そんなことが繰り返されました。

オーナーは「もうRookieはギブアップしよう」と言い始めていました。私自身のストレス、そして里親の見つかる見込みのないRookieにボランティアの時間やお金をかけるよりも、アダプタブルな犬を何頭も助けた方が良いのでは?とオーナーは静かに話しました。私も悩みました。

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当時、ポジティブトレーニングが主流ななかで、イアン ダンバー博士のBite Scale等に照らし合わせて、パワーブリードが多いロサンゼルスでは安楽死にされる犬がたくさんいました。Rookieもダンバー博士のBite Scaleに照らし合わせれば、安楽死です。

その頃、ロサンゼルスではシーザー ミランが席巻し始めていました。ポジティブトレーニングのトレーナー達から、悪く言われることも多いシーザーですが、かわいがっている愛犬を安楽死にしたくない人たちが彼を支持したのだと思います。

誰だって、犬にやさしくトレーニングしたい、でも私とRookieがいちばん悩んでいた頃、その受け皿がないのが現実でした。シーザー ミランの番組を見ていると、飼い主たちは「他のトレーナーに頼んだけれど、安楽死と言われた」とよく言います。私も同じでした。これから変わっていくといいなと思います。

 

私とRookieはシーザーミランに似たタイプのトレーナーMに頼みました。

ロサンゼルスでは何か事故があった時に、裁判の時に責任もってRookieをトレーニングします!と言ってくれるトレーナーが必要です。彼女はそれを快諾してくれました(幸い、裁判沙汰は起こさずに済みました)。

私は彼女の紹介でケージフリーデイケアで働くことにしました。そこで犬たちを観察し続けてボディランゲージを勉強しました。

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Rookieは完全に良くなることはなかったけれど、トレーナーMは「もう来ないで」とか、「この犬は安楽死」とは言わずに、一緒にいろいろな方法を模索し提案し続けてくれました。それも心の支えになりました。トレーナーは飼い主のカウンセラーでもあるのだと思いました。

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そして、日本帰国が決まり、まだ里親の決まらないRookieを置いて行けば殺処分が目に見えていたので、オーナーと何回も話し合い、私は迷いながらも正式譲渡の手続きをしてRookieの里親になりました。

日本に帰国、最初はトレーナーを探しました。

しかし過去にMに習っていたことで、あるトレーナーから壁を作られました。

そんなこともあり、私はトレーナーを探すのではなく、自分でトレーナーが出ているようなセミナーに参加して勉強しようと思いました。

トレーナーになりたいわけではなく、最初に思い描いていたようにポジティブトレーニングでRookieと幸せに暮らせるように。私がRookieのトレーナーならギブアップも偏見も安楽死もない。一緒に学んでいけばいいのだから。

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セミナーでは問題はいろいろですが、似たような悩みを持つ飼い主さんと知り合いになりました。

ある方が自分の犬のことで罵られたことを話してくれて、「私達は誰よりも勉強しているんですよ、問題犬の飼い主なめんなよ!」と言っていました。

そういう風に考えたことがなくて、いつも力不足だと思っていたので、ちょっと自信になりました(笑)

セミナーで出会う飼い主さんはみんな勉強も努力もしていて、それはそれは熱心で真摯でした。

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Rookieにいちばん効果があったのは「環境設定」「回避」です。

そして何より私がRookieのボディランゲージを見ること。これはロサンゼルスでシェルターボランティア、ケージフリーデイケアでの経験がとても力になりました。

近所の犬の多い河川敷では、興奮し吠えて暴れる行動を繰り返し強化されるばかり。しかもRookieも私も辛いだけ。相手にも迷惑でしょう。

ちょっとめんどくさいけれど毎朝、車で人気のない場所へ行って、のんびりお散歩を続けるうちに、私達はお散歩をゆったりできるようになりました。

ごきげんでアニマルトラッキングしているRookieのゆるやかな後姿を見ながらのお散歩はとても楽しいです。

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Rookieは人間は好きで泳ぐことも好きなので、13歳半の今でもウォーターワーク(水難救助犬)のトレーニングに通っています。

Rookieが楽しくて得意なことをして、褒められる、相手にも喜ばれる、そして自信も体力も着く、人間のお友達も犬のお友達もできました。

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今はRookieもすっかりおじいちゃんになり、暴れることもほとんどなくなりましたが、私は勉強を続けて、Rookieが健やかに幸せに穏やかに暮らせるように、そしてRookieのいちばんの理解者でスペシャリストでいたいなぁと思っています。