days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

遺伝子から読む犬の健全性ってなんだろう?

犬と暮らし、犬仲間ができたり保護活動に関係したりしていると、遺伝疾患を持つ犬たちに想像しているより多く出会います。

ブリーダーが放棄したと思われるブルーマールのチワワ。チワワのマールは疾患が多く繁殖は禁止されています。この後、大量のマールのチワワが秋ヶ瀬周辺に放棄されました。
私はジャーマンシェパードが大好きですが、ジャーマンシェパードを飼うにあたり、躊躇している大きな原因は、ジャーマンシェパードの遺伝疾患の多さ、不健康さです。

DMゼロを目指して


先日、「遺伝子から読む犬の健全性ってなんだろう?」というセミナーに参加してきました。
講座1 犬の遺伝学 基礎編   尾形聡子さん

講座2 遺伝疾患        今本成樹獣医師

講座3 パネルディスカッション 西山ゆう子獣医師

尾形さんの「犬の遺伝学」からたくさんの方に知ってもらいたい一部をご紹介したいと思います。
◇遺伝病が広まる原因
1.繁殖に多用される種犬の存在(チャンピオン犬)
2.インブリーディング(見た目重視の繁殖、近親交配)
 近親交配は遺伝的多様性の消失に大きく影響し、病気や環境変化への耐性を低下させる。遺伝病が蔓延しやすくなる。

3.集団数/個体数の少なさ
・似通ったDNAを持つ個体が増え、遺伝的多様性が失われていく
・本来ならば自然淘汰されるであろう有害なDNAが淘汰されにくい

・DNAが似通ると、自然選択による繁殖ならば発症する可能性が非常に低い劣性遺伝病が発症しやすくなる
◇遺伝病をなくしていくには
1.繁殖に特定の犬を多用しない
2.インブリーディングを減らす
3.集団数/個体数を増加させる
遺伝子プールを広げ、遺伝的多様性を高めていくことが、犬の心身の健康度、「健全性」を高めることにつながっていく。
そのためには、生物学的、遺伝学的知識を取り入れた繁殖をしていく必要がある。

↓より詳しく遺伝学を知りたい方は尾形さんの本を読んでみてください

 今本獣医師からは、実際に診察した遺伝疾患の犬たちの症例の説明がありました。
「ブリーダーは遺伝疾患のキャリアは繁殖に使っても問題ないと言うが、問題は大有り」「もう経験則で繁殖するのはダメだ」という言葉が印象的でした。

西山ゆう子獣医師のパネルディスカッションでは「遺伝病を持った、不幸な犬猫を増やさないため」「これ以上、遺伝病の悲劇を、日本に広めないために」どうしたらいいかというテーマで、参加者(ブリーダー、犬の商業施設経営者、トリマー、ボランティア、一般飼い主など)からいろいろな提案がありました。一部をご紹介します。
・誰でも簡単に繁殖できなくする
・責任あるブリーダーを育成するため、行政がもっと関与する
・犬を繁殖するには、遺伝病のテストに合格しなくてはならない
・獣医師がもっと、ちゃんとしたアドバイスができるようになる
・JKCのような、大手のエライ人達を変える
・法律の強化。アニマルポリスの育成、取り締まり。
若い人たちの教育。情報発信
・動物を意図的に繁殖するという「家畜化」をするなら、その遺伝病や病気、生態すべてに関して、人は責任を持つべき
・消費者、購入する人の教育、サポート、情報発信


www.youtube.com「疾患があっても飼い主が責任もって可愛がればいい」という方もいますが、飼い主さんがどんなに愛し、時間とお金をかけて献身的に介護していたとしても、犬自身が疾患に苦しむことは変わりません。遺伝疾患が原因で、満足に運動することができなかったり、美味しいごはんを食べられなかったり、常に息が苦しかったり、強い痛みに苦しんだり、若くして死んでしまう疾患もあります。
疾患を持つ犬をブリーダーや飼い主が放棄することも少なくありません。

遺伝疾患は繁殖者が正しい知識を持ち、繁殖に使う犬、繁殖した犬全ての遺伝疾患の検査をして、疾患を持つ犬を繁殖ラインから外せば、ぐっと減らせる病気です。

それなのに、なかなか状況が変わりません。
繁殖に携わる人と話していても遺伝疾患のことは考えていなかったり、遺伝疾患の話題になると不機嫌になることもしばしば。
問題は繁殖側だけではありません。買う側にもあります。
より希少性の高い犬、不健全なまでに小さい犬、チャンピオン犬、訓練性能の高い犬、反対に値段の安い犬を欲しがるなど。。
今や犬たちはもう自然交配しているわけではなく、人間がコントロールして交配しています。
交配を人間がコントロールするならば、心身ともに健全な命を生むようにコントロールすべきと思います。

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私は犬の値段がぐっと上がっても、繁殖にかかわるすべての犬の遺伝疾患の検査を実施して、遺伝疾患のない犬の繁殖を心からのぞみます。
訓練性能が良かったり見た目の美しい不健康な犬よりも、健康な犬を心からのぞみます。
3~5代祖くらいまでの疾患に関するデータをそろえた家系図があったりしたら、繁殖する側のビジネス面でもうまくいくと思うのですが、どうでしょう?
私だったらそういうブリーダーさんを選んで、犬を購入したいと思います。