days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

ペット先進国の裏の顔

イギリスやドイツに及ばないものの、アメリカも世界的に見ればペット先進国になるのだろうし、日本から見た一般的な評価は「ペット先進国」として通っている。
地域差は大きいけれど、ここロサンゼルスにおいては、確かに日本より手厚く保護されているし、一般飼い主の意識も高いと思う。
小さな子供も私の犬に近づく前は「触ってもいいですか?」ときちんと聞いてくるし、犬を飼う時はまずシェルターに訪れるのが当たり前で、アダプションショーはいつでも里親候補達で溢れかえっている。
そしてレスキュー団体は星の数ほどあり、NO KILLのシェルターも星の数ほどあり、ボランティアも星の数。
不幸な犬を増やさないための早期の不妊手術も当たり前になっており、不妊手術の済んでいない犬に会うことも滅多にない。ロサンゼルス市では条令で早期の不妊手術が定められているし、カリフォルニア州でも法案が固まりつつある。
室外に犬を繋ぎっぱなしにしていたり、オフリーシュで散歩させていれば、アニマルコントロールから罰金と指導を受ける。
私の住んでいるビーチエリアで散歩している犬達は、みんなとてもよくしつけられていて、吠えたり、引っ張りしている犬はおらず、みんな優雅に散歩している。
同じく私の住んでいるコンドミニアムに住んでいるピットブルもおとなしく、おりこうさん。
アメリカの中でも裕福な人の集まる地域では犬を飼ったら、まずパピークラスに入るのが当たり前。

活気あるアダプションショーの様子

ドッグトレーナー、シーザー ミランとその番組はアメリカで大人気。
☆☆☆話が脱線します☆☆☆
しかし、彼のメソッドに反発するいわゆるポジティブ トレーニングを推奨する団体や個人が、シーザーのチョークやプロングを使う強制服従のトレーニングは虐待であるとして訴訟や反対運動を起こしています。
シーザー自身は褒めるしつけも、方法のひとつとして受け入れているし、褒めるべき時は犬を褒めています。
ポジティブトレーニングを推奨する団体や個人は、リーダーシップや権威によるトレーニングを否定し、それらを行っている個人や団体に非常に攻撃的になる傾向がありますが、人間に対してそんなに攻撃的なのに、犬にだけはポジティブに接していけるのでしょうか?
ポジティブトレーニング以外のトレーニングを徹底的に否定するわりに、ポジティブトレーニングを推奨するトレーナーの多くは攻撃的な犬や噛む犬のトレーニングを断ったり、治せません(ルーキーもトレーニングを断られましたし、6回コースの途中なのにもう来ないでと言われたこともあります。あるトレーナーには安楽死を薦められました。チョークやプロングをかわいそうだと声高に叫んでいるのに安楽死を薦めるって一体!?もちろん素晴らしいトレーナーさんも存在するのかもしれませんが、まだ私は出会えていません。出会えたらとても嬉しい)。
ロサンゼルスでとても有名な人望のある獣医さんの紹介しているトレーナーに攻撃的な犬の相談をした方とお話しする機会があったのですが、その方が「他の人たちのように外をのんびり散歩したい」と相談したら、トレーナーから「こういう犬はみんな外に出さないだけよ」と言われて、改善策は立ててもらえなかったと嘆いていました。
もともと良い子に教えるだけなら、プロじゃなくてもできるでしょう。プロのトレーナーに断られたりギブアップされた飼い主と犬はどうしたらいいのでしょう?一般的なレベルのポジティブのメソッドで治る見込みのない犬は家の中に閉じ込めておくか、安楽死しろと言うのでしょうか?
あ、話がそれてしまいました。私はポジティブトレーニングを否定しているわけではありません。むしろ好きですし、犬を興奮させない程度に取り入れています。
私はトレーニングのメソッド云々より、問題が改善するまで飼い主と犬に親身に、とことん付き合って、可能性のあるあらゆる方法を的確に提案してくれ、結果を一緒にだしてくれ、喜んでくれるトレーナーが素晴らしいと思うのです。
☆☆☆脱線終わり☆☆☆


私はアメリカに来た頃、このような環境にすごいな、と思ったものです。
「さすがペット先進国」と。
でも、実際にボランティアをはじめて「?」と思ったのは、星の数ほどあるレスキュー団体よりも里親希望者よりも、捨てられる犬の数が多いという現実でした。
去年、私の住むコンドミニアムにはよく吠えるミニチュアシュナウザーがいました。
飼い主のおじいさんは毎日3回くらいかいがいしく散歩に連れて行き、可愛がっていましたが、散歩にフレキシリーシュを使っていて、そのミニシュナは縦横無尽に駆け回り、おじいさんを引っ張りまわして吠えまくっていましたが、おじいさんは一度も注意していませんでした。
そして2ヶ月ほどですっかり姿を見なくなり、「近所からクレームが来たので、やむなくシェルターへ」ということでした。
やはりコンドミニアムの住人に去年の暮れくらいからチワワとマルチーズを散歩させている男性がいました。
マルチーズの方はおとなしいのですが、チワワは人にも犬にも吠えまくり、家の中からもよく吠えていました。
この男性もチワワがいくら吠えていても、ヘラヘラしていました。
そして最近、チワワだけがいなくなりました。
かわいげのないチワワ(?)でしたが、寒さに弱いチワワが屋外のコンクリートのケンネルに震えながら入っているのかと想像すると、何ともいえない気持ちです。
ミニシュナもチワワも、いきなり諦めるのではなく、トレーニングにトライしてあげてほしかったです。

ずらっと並ぶケンネルは常に保護犬で満員


このあたりの地域では、しつけのなっていない犬を連れていることは「とても恥ずかしいこと」です。
世間の目もかなり厳しいです。
ルーキーのフォスターになって、ルーキーのアグレッションが最悪だった頃、散歩中に罵声を浴びるのはしょっちゅうでした。
私の住んでいるコンドミニアムでも、犬が吠えているとすぐに張り紙してくるご婦人がいますし、アニマルコントロールに通報されれば、犬を取り上げられてしまいます。
うちも張り紙されたので、ビデオカメラで撮影してみましたら、ルーキーもひとりで留守番のときに、物音がしたり、廊下をバタバタを走る音に少し吠えていました。
「この犬はシェルターから来たばかりで、環境が激変し、不安なんだと思います。留守番の訓練をさせてください」とお願いしてみましたが、聞き入れてもらえませんでした。アニマルコントロールへの通報も辞さない様子だったので、今の家に住んでいる間は、出来る限り外出には一緒に連れ出して、どうにもならない時は友人にお願いしたり、デイケアに預けたりして、とにかく留守番させないようにしています。本当は留守番の訓練をしたいのですが、やむを得ません。

出会った頃のルーキー


ペット先進国の裏の顔、、、
私が最初「みんなよくしつけられているな」と思ったのは半分正解ですが、半分は間違いでしつけの大変な飼いづらい犬はあっさり捨てられていたのです。
レスキューをしていても、捨てられる犬の理由の多くが、何かしらの問題行動によるものです。
里親が見つかっても、吠えたり、お漏らししたり、ちょっとした問題行動で即リターンされてきます。
こういったケースを改善するための方法のひとつは「問題行動のある犬の遺伝子を残さないこと」
犬のしつけはとても重要ですが、問題行動や資質は遺伝によるものも大きいのです。
多頭飼いで同じ人が同じように育てても、良い子もいれば、手のつけられない子もいます。
素人による繁殖や、パピーミル、いいかげんなブリーダーなどの繁殖を抑えられれば、問題行動のある遺伝子を持つ犬も増殖せず、結果捨てられる犬は減るはずです。犬の命は有り余って、溢れかえり、たくさんの命が処分されているのが現状なのに、これ以上増やすことは犬を愛する人のすることではありません。

もうひとつの方法は「教育」
レスキューボランティア、フォスターボランティア、里親、そして犬の教育です。
人間は犬を学び、犬は人間社会に適合して生活することを学ぶ。
不妊手術に関する知識の教育も大切だと思っています。
ずっと考えて活動してきたことが、今少しずつ形になり、活動が広がりつつあります。

今日も私とルーキーは学ぶべきことがいっぱいです。