days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

問題行動起因による人間都合の手術の前にできること

先日、ある犬の飼い主が断尾手術をしてしまいました。
見た目のための断尾ではなくて、尾追い行動(代表的な常同行動のひとつ)による自傷行為を防ぐための断尾で、飼い主さんは悩みに悩んでの決断だったようです。声帯除去、断尾、犬歯切除、、、
私は問題行動で放棄された犬達の集まるシェルターにいて大変なこともいろいろあったし、そこで出会った激しい他犬攻撃性を持つルーキーと暮らしているので、飼い主さん側が本当に悩んで追い詰められて手術に至る心情は痛いほど理解できます。私でも今までにちらっと頭を掠めることはありました。日々一所懸命にトレーニングしていてもなかなか結果が出ないなか、赤の他人から「通報するぞ!」なんて言われると、通報されて飼えなくなるくらいなら、声帯除去や犬歯切除も止む無しか?とかね。


でも、手術する前にできることはいっぱいあります。
経験豊富なドッグトレーナーと飼い主さんの協力で解決するようなケースもあるでしょうし、現在は行動治療の専門医が科学的な行動学と薬物療法を併用した治療も行っています。
自傷行為や突発的な咬みなどで今すぐ何とかして!という時でも、マズルガードを着けるなどのマネージメントを併用すれば、急いで手術しなくてもいいはずです。
専門家に相談することもなく、ただ「ネットで調べて手術を決断した」というケースは避けていただきたいのです。普通の獣医師は行動治療分野については専門家ではありません。
例えば断尾では脊髄の3分の1から4分の1を切り取るということで、身体のバランスが崩れて均整が保てなくなってしまうこともあります。尾追いの常同行動の場合、断尾したらそれで問題はおしまい!ではなく、前足を真っ赤になるまで舐め続けるようになったというケースもあります。
ネット情報だと自分に都合の良い部分だけに納得して、耳の痛い部分は目に入らないなんてこともよくあることです。手術をする前にまずは専門家に相談を!!そして手術を依頼された獣医師も行動治療の専門医を飼い主さんに紹介してあげてほしいと願います。

尻尾は口ほどにモノを言う、、、ルーキーの尻尾はおしゃべりしているみたいにいつでもくるくると変化して、ルーキーの気持ちを伝えてくれています。
獣医動物行動研究会
http://vbm.jp/