days of atresure

ロサンゼルスのシェルターにいたRookie。Rookieの一時預かりボランティア中に、日本帰国が決まり、正式に家族として迎えることに。大変なこと、幸せなこと、最近では幸せなことばかり、、、綴っています。本ブログの画像および文章の著作権はmamiにあります。無断転載を禁止します。

トレーニングを勉強して

今から3年半前、レスキューボランティアを始めた頃は犬のこと何もわかってませんでした。
小学生の頃飼い始めたシェルティーは何のトレーニングもせず、親も私もはじめての犬で今思うととんでもない飼い方をしていましたが、こちらが何もしなくても手のかからない良い子でした。これも今思うととんでもないことですが、逃げないし呼べば戻ってくるのでいつでもオフリーシュにしていました。他の犬ともあいさつできるし、誘われれば楽しそうに追いかけっこして遊び、ケンカは一度もありませんでした。私はこの頃「犬が人間を好きなのは当たり前、犬同士がすぐに仲良くなるのは当たり前」と思っていました。今にして思うと私が最初に飼ったシェルティはもともと精神バランスの良い心身ともに健康な犬でラッキーだったのだと思います。
そんな犬しか知らなかった頃は、犬や人に攻撃的な犬とその飼い主を「信じられない」という目で見ているだけでした。

で、「犬の経験あります、大丈夫です。」と少しばかりの自信を持ってボランティアをはじめて、実際にシェルターに行ってみたら超問題犬のオンパレードで、最初はどの犬もリーシュを着けてケンネルから出すことさえ難しかったです。
ピットブルやマスティフ、シェパードに引っ張られながら散歩をして、吠えたり暴れていても制止することもできず、保護犬に咬まれたこともありました。
自分なりに本やテレビ、インターネットで勉強してクリッカーやトリートを使ってやってみても、未熟な腕前でずっと効果を出すことはできず、ただ保護犬達に歩かされているだけで、改善できない日々が1年以上続きました。
アダプトされてはリターンされてくる犬の多さに、トレーニングの大事さを痛感しながらも、改善させることはできていませんでした。
何か問題があるとすぐにリターンしてくる里親さんたちに「何で!?」と嘆かわしく思ったりしたこともあります。

運命のめぐりあわせでRookieのフォスター(里親さんが見つかるまで自宅にて一時預かりをするボランティア)となり、日常生活の中で犬の問題行動と蜜につきあうこととなり、私はかなり精神的ダメージを負いました。
散歩で外に出すたびに、犬の気配を感じただけで狂ったように暴れ吠えまくるRookieと毎回1対1で立ち向かうことに、人々からの罵声や白い目に、アニマルコントロールの存在やアパートの30days Noticeに、めげそうになっていました。
自力でのトレーニングに限界を感じ、ポジティブトレーニングのトレーナー数人を渡り歩き、トレーニングを断られ続け、やっと見つけたトレーナーのトレーニング中に咬傷事故が起こり安楽死を勧められ、、、
アダプションショーで里親さんが決まっても、その度に1週間以内にリターンされてくるRookie。
犬を家に置いてどこにも出かけられず、フォスターになるか悩んでいた時に「協力するから、出かける時は預かるから」と背中を押した人たちは実際に頼んでみるととても迷惑そうで頼みづらく、、、
私は問題犬をリターンする人達の気持ちを心底理解できましたし、Rookieをリターンしてきた里親さんたちを責める気持ちは全く持てませんでした。
でも自分がリタイヤしたら、Killシェルター行き決定のRookieを思うと、やっぱりリタイヤできず。。
長い長い迷走の果てに今のトレーナーさんに出会うことができ、私とRookieは何とか兆しを見つけました。
そして今もずっとお互いトレーニング中。

自分とRookieのトレーニングを取り組みなおして、いちばん最初に効果が出たのは、意外なことにシェルターの保護犬達でした。
ひょうたんから駒?
今まで吠えて暴れて引っ張ってどうしようもなかった犬達が、今では私と一緒だとおとなしく静かに歩いてくれるようになりました。
あんなに暴れん坊だったチャーリーやロッコやジャッキーが、今はきちんと歩けるようになりました。


でも、まだまだ課題も問題点もあります。
肝心のRookieは私と歩いていても、まだ犬を見ると暴れます。以前よりは格段に良くなりましたが、まだ危険な状態です。
今の状態では、信頼できる人にしかRookieのリーシュを持たすことは出来ません。
何故私はシェルターの保護犬をコントロールできても、Rookieはできないのか?
これにはふたつの理由が考えられます。
1つはRookieがそれだけ難しい犬であるということ。
Rookieのトレーナーさんのトレーニングを何回も見てきましたが、毎回たった1回のセッションで、それもたった5分や10分くらいで暴れん坊たちを大人しくさせてしまうのですが、Rookieはトレーナーさんの前でもおとなしくなるのに4〜5ヶ月かかったと思います。
以前トレーナーさんのビデオ作成の撮影の時に、モデルとして出演予定だった問題犬たちがトレーナーさんを見て良い子になってしまい問題行動の撮影ができなかったため、急遽Rookieが呼ばれたことがありました。はい、Rookieは思いっきり暴れてくれました。(今ではトレーナーさんがいるとRookieは終始リラックスしています。)
二つめは、私がRookieと寝食をともにし、愛情をたっぷりかけあう家族だということ
シェルターの保護犬達の前では常に「先生」でいることができる私も、1日中一緒に生活しているRookieには甘〜い顔を見せてしまいます。
保護犬達は私のアテンションを得るためにがんばっていて、散歩中に他の犬や人間に攻撃性を見せて叱られるより、無視して私に褒められることを喜ぶようになりました。
でもRookieは保護犬達のように愛情に飢えていないし、私がどんなに叱っても「マミは自分のことを愛していてひどいことをしない=怖くない」と余裕をかましているんじゃないかと思います。

そして保護犬達。
確かに私と一緒だと良い子になりましたが、新しいボランティアの子が散歩させると吠えるし引っ張るし暴れます。
ここで「ハンドラーのやりかたが悪い」と言うのは簡単ですが、でもそれじゃダメなんじゃないかと最近思うのです。
普通の犬の飼い主さんはプロではないし、経験を積んでいるわけでもない人がほとんどなわけで、誰でもハンドルできる犬にならないと、アダプトのチャンスはどんどん狭まるのではないかと。
でも生まれつきドミナントな犬、支配的な犬、異常に臆病だったりセンシティブな犬を、誰にでもハンドルできる犬にトレーニングすることはできるのか?と考えるととても難しそうです。


取り組みのひとつの方法として今Rookieのトレーナーさんとレスキュー団体が協力して、アダプト後すぐにグループトレーニングを受ける動きが広がっています。クラスの費用は里親さんとレスキュー団体で折半(?)しているようです。
最初に正しい犬との付き合い方を学べばかなり違うと思いますし、何より問題行動に困った時に親身になって相談でき、的確なアドバイスをしてくれる頼れる人がいるというだけでも里親さんには心強いと思います。
そしてトレーナーさんと保護犬達を結びつけたのは私!と言いたい所ですがそうじゃなくて、Rookieの功績が大きいです。

犬のトレーニングに関して私はこれからも迷走しそうです。
ひとつのメソッドにこだわらず、可能性のある方法のなかで、いちばん自分と犬に適した方法を見つけていきたいです。
近くに犬がいてもRookieが恐怖やパニックにとらわれることなく、リラックスして散歩を楽しめるようになるまで。
そして今までRookieと一緒に経験してきた苦労や悩みや訓練とこれからの経験の全てが、今後日本で保護活動する時に必ずプラスになるんじゃないかと思っています。

え?ボクは良い子ですよ